多汗症
多汗症とは
多汗症とは、異常なほど大量に汗をかく状態のことです。多汗症になると、通常は運動後や発熱時のような、自然と汗をかくような状況ではなくても、度々たくさんの汗をかくようになります。
多汗症の症状は主に2つのパターンに分けられます。手足や腋など、限られた身体の部位のみに汗をかく場合を「局所性多汗症」、全身に汗をかく場合を「全身性多汗症」と呼びます。多汗症を発症する時期は人によってさまざまで、幼少期や思春期前後に発症することもあれば、成人になってから発症することもあります。
汗を多量にかくことから、精神的な負担を感じやすくなり、日常生活に支障をきたすこともあります。多汗症の原因を的確に見極め、正しい対処法をとることが重要です。
多汗症の原因
多汗症は、局所性と全身性に分類され、それぞれ原因も異なります。
■局所性多汗症の原因
局所性多汗症は、腋の下や手のひら、足の裏など、決まった部位に多量の汗をかく状態です。局所性多汗症の多くは「原発性局所性多汗症」の場合が多いとされます。
原発性局所性多汗症の原因特定は難しいですが、多くの場合では「自律神経の乱れ」が原因であると考えられています。幼少期や思春期に発症することが多く、局所であっても、患部には多量の汗が出ることが特徴です。
また、遺伝的な要素が原因の場合もあります。
■全身性多汗症
全身性多汗症では、お腹から背中、足全体まで、全身の広範囲に多量の汗をかきます。全身性多汗症の中でも、何らかの原因が特定できるものを「続発性全身性多汗症」といいます。その原因としては、体質や薬剤の他、下記の状態が挙げられます。
・低血糖
・更年期
・感染症
・褐色細胞腫 など
多汗症の症状
暑さや運動をした後、熱が出た時などに汗をかくのは生理的な反応です。一方で多汗症の症状は、生理的な反応の範囲を超えるほどの多量の汗が出てしまう状態です。多汗症になると、汗をかく要因がなくとも局所または全身に多量の汗をかくようになります。
手のひらに汗が溜まる症状により、物を持つときに滑りやすかったり、体の汗が多くなることで頻繁に着替えが必要になったり、日常生活に大なり小なりの支障が出て、ストレスに感じてしまうこともあります。ただし、多汗症の症状が現れるのは日中のみで、就寝中は汗が止まります。
また多汗症の症状は、精神的ストレスや緊張した状態が続くと、悪化しやすくなります。
多汗症の治療
多汗症では、症状が現れる部位や原因となる病気の有無によって、治療法が異なります。
■局所性多汗症の治療
・ボトックス(ボツリヌス菌毒素)注射・・・ボトックスは1回注射すると、約半年間効果が持続します。
・イオントフォレーシス療法・・・皮膚に電流を流して汗を抑制する治療法ですが、微弱な電流を使用するので、痛みなどの副作用はありません。その分、繰り返し回数を重ねて治療していく必要があります。
・交感神経遮断術・・・重症の局所性多汗症に対して、「胸部交感神経」という汗腺支配神経をブロックする治療法です。
■続発性多汗症の治療
多汗の原因となっている病気が確定していれば、その病気の治療を行います。
■原発性局所性多汗症
古くから行われる治療法に、「塩化アルミニウム」の外用があります。この治療には健康保険が適用されず、どこの医院でも処方できるものではありませんでした。しかし最近では、腋の下の多汗症に対して保険適用の「抗コリン作用」をもつ外用薬(エクロックゲル®など)が登場しています。
その他にも症状、原因別にさまざまな治療法がありますので、目的に応じて適切な治療法を選択することが大切です。
しもやけの治療には、ヘパリン類似物質・軟膏・ビタミンEなどの塗り薬、またはビタミンEの飲み薬が使われます。毎年しもやけになる方は、症状が出る前に薬の使用を開始するのが良いでしょう。また、足湯やマッサージ、漢方薬などを用いて血行を促進し、痛みを和らげます。通常は、暖かい季節になれば自然に軽快しますが、「暖かくなっても治らない」「冬でないのにしもやけのような症状がある」などの場合には、しもやけでなく思わぬ病気が潜んでいることがあります。こうした場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
多汗症の予防・生活上の注意
多汗症の予防として効果的な方法は、生活習慣の改善です。
・バランスの良い食生活
・十分な睡眠時間の確保
・適度な運動
これらの方法が多汗症の原因そのものを取り除く訳ではありませんが、日常生活で実践することによって、自律神経の改善、リラックス効果などが期待されます。
ストレスや緊張を和らげることが、結果として多汗症の症状緩和につながるケースも多いのです。
多汗症を発症していても、治療を受けることに抵抗がある人も多いようです。気になる時は我慢をせず、皮膚科などを受診しましょう。