ヘルペス
ヘルペスとは
ヘルペスとは、「単純ヘルペスウイルス」が皮膚や粘膜に感染して引き起こされる病気です。一般的なものとして、口唇ヘルペスと性器ヘルペスに分類され、赤ちゃんから大人まで発症する可能性があります。ヘルペスの症状は、発症する部位によって様々です。一度感染すると、単純ヘルペスウイルスが神経節に潜伏し続けるため、治療によって完全に排除することは出来ません。風邪やストレス、日光を浴びるなどを契機にウイルスが再活性化すると、繰り返し再発しやすいという特徴があります。
ヘルペスの原因
ヘルペスの原因は、単純ヘルペスウイルスが患部となる皮膚に接触し、粘膜に感染することです。家族間では、ウイルスがついたタオルや食器類を共有することで感染します。
また性交などによって、直接皮膚や粘膜、体液と接触することでも感染します。妊娠中に性器ヘルペスを有する場合には、新生児が出生する際に産道で感染する恐れもあります。
ヘルペスの症状
ヘルペスは身体の様々な部位に感染し、その部位によって症状が異なります。ヘルペスを発症すると、多くは患部がむずむずする、痛みを伴う赤みが出る、水ぶくれができるなどの症状を認めるようになります。
■口唇ヘルペス
口唇ヘルペスでは、唇やその周辺の皮膚にぴりぴりと熱いような感覚やかゆみを感じることから始まり、小さな水疱(水ぶくれ)が生じます。水疱は唇と皮膚の境目周辺に見られることが多いですが、鼻や頬の皮膚にも生じることがあります。時間が経つと水疱が破れ、かさぶたになっていきます。
皮膚症状のほか、口腔内にも水疱ができる場合があります。これは「ヘルペス性歯肉口内炎」と呼ばれ、喉の痛み、発熱、倦怠感、リンパ節の腫れ、水分摂取が困難なことによる脱水などの症状を伴うこともあり、子供に多く見られます。
■性器ヘルペス
性器やその周辺部位が赤く腫れ、痒みや痛みを伴う小さな水疱が、左右対称に生じます。数日経つと水疱が破裂してただれた状態となり、激しい痛みを引き起こします。倦怠感や発熱、排尿障害、足の付け根のリンパ節の腫れ、歩行が困難になるなどの症状がみられることもあります。
性器ヘルペスは、世界的に患者数の増加が問題視されています。非常に再発しやすく、また感染しても上記のような症状が現れない人も多い為、気付かないうちに家族やパートナーに移してしまっていることも珍しくありません。性器ヘルペスの再発時には、初回感染時の症状に比べると軽症の場合が多いですが、痛みやかゆみが出現し、性器やその周辺、太ももなどに水疱やただれが数か所現れます。
■新生児ヘルペス
出産時に母親が性器ヘルペスを発症していると、新生児が産道でヘルペスに感染する可能性があります。生後数日で高熱やけいれん、呼吸不全などの症状を起こし、最悪の場合は死に至る例もあります。また新生児ヘルペスから脳や脊髄に「ヘルペス脳炎」を発症し、身体に麻痺や後遺症を残すこともあります。
■角膜ヘルペス
角膜ヘルペスを発症すると、眼の充血や痛み、光を極端に眩しく感じるといった症状が現れます。角膜ヘルペスが進行して角膜炎を起こすと、視力低下を引き起こし、失明に至る可能性もあります。基本的には角膜ヘルペスの症状が出るのは片眼のみで、両眼ともが障害を受けることは殆どありません。
ヘルペスの予防・治療・生活上の注意
ヘルペスの治療には、「アシクロビル」や「ファムシクロビル」などの抗ウイルス薬の飲み薬を使用します。できるだけ早く治療を始めることが推奨されています。軽症の口唇ヘルペスの治療には、外用薬を使用することもあります。
また、年に何度も再発を繰り返す場合には、再発の予兆がある時に1日だけ抗ウイルス薬を服用する方法があります。ヘルペスウイルスは、完治後も体に残り、睡眠不足や風邪、ストレスなどによって再発しやすいとされます。日常生活でなるべく免疫力低下を予防するように心がけましょう。