アトピー性皮膚炎
浜松市中央区(旧南区)の皮膚科 いがらし皮ふ科

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎について

アトピー性皮膚炎はアトピー素因を持つ方が、かゆみや赤みや湿疹などが悪くなったり良くなったりを繰り返し発症する疾患です。

アトピー性皮膚炎の症状

アトピー性皮膚炎の原因は皮膚のバリア機能が低下したり、免疫のバランスを崩したり、遺伝的、環境的様々な要因が関係します。肌に存在するセラミドや天然保湿因子が不足することで皮膚のバリア機能が低下し、さらに水分が失われやすくもなり乾燥しやすくなります。水分が失われるとバリア機能は低下するので、乾燥することによってさらにアトピー性皮膚炎を悪化することにも繋がります。アトピー性皮膚炎の悪化因子は、アレルギー的因子と非アレルギー的因子があります。

<アレルギー的因子>
・食べ物 ・ダニ、ハウスダスト・細菌、真菌・花粉・外用薬・化粧品・金属など

<非アレルギー的因子>
・汗・乾燥・ストレスなど

悪化因子(アレルゲン)は既往歴や血液検査などを行って特定を試みます。 原因物質が特定できれば、その物質との接触を避けることでアトピー性皮膚炎の症状の悪化を防ぐことに繋がります。内臓の機能低下、バランスの崩れ、精神的ストレス、肉体的疲れなどが隠れている患者さんも少なくありません。

アトピー性皮膚炎の検査と診断

皮膚がんの初期病変はアトピー性皮膚炎に似ており、見た目では区別がつきにくいことがあります。
アトピー性皮膚炎の検査と正しい診断にはダーモスコピーを使用します。ダーモスコピー検査は、ダーモスコープという特殊な拡大鏡を皮膚面に当ててメラニン色素や毛細血管の状態を調べる検査です。悪性の可能性がある場合は、アトピー性皮膚炎の一部・全体を切除して、顕微鏡による病理組織検査を行う必要があります。

アトピー性皮膚炎の治療

アトピー性皮膚炎は医師の指導のもと正しい治療を行うことが大切です。
※特に以下の場合は皮膚科医院を受診することをお勧めします。
・かゆみが強く掻きむしる ・湿疹が長く続いている
・良くなったり悪くなったりを頻繁に繰り返している
・自分自身では対処ができない(セルフケアでは間に合わない)

<外用薬>
アトピー性皮膚炎の大敵はかゆみになります。かゆみがあると患部を掻いてしまい、症状が悪化してしまうからです。そのためまずはかゆみを抑えることが大切です。
かゆみを鎮めるにはステロイド外用薬、非ステロイド性抗炎症薬、免疫抑制剤(タクロリムス外用薬)などを使用します。ステロイド外用薬は症状によって強さのランクを使い分けます。医師の指導のもと適切に使用すれば副作用がでることは少ないです。
コレクチム軟膏、モイゼルト軟膏など新しい外用薬が著効する方もたくさんいらっしゃいます。

<新薬>
2018年にデュピクセントⓇ(デュピルマブ)が登場しました。サイトカインを抑えることで、炎症反応を抑え込むことができる生物学的製剤です。コレクチム軟膏、オルミエント、リンヴォックはJAK阻害剤、モイゼルト軟膏はPDE4阻害剤です。ステロイド外用薬が起こった炎症を抑えるのに対し、これらの薬は炎症を起こしにくくしてくれます。アトピー性皮膚炎の方には朗報となるお薬と考えています。

<内服薬>
アトピー性皮膚炎のかゆみが強い場合は、アレルギー反応とかゆみを抑えるために抗ヒスタミン剤などの内服薬を使用します。

<スキンケア>
皮膚のバリア機能を高めるために肌を清潔に保ち、保湿を心がけるスキンケアは非常に大切です。肌の皮脂を落とし過ぎないように、刺激の少ないボディーソープや石鹸を泡立ててぬるま湯で優しく洗うようにし、洗浄成分が肌に残らないように十分に洗い流すようにしてください。入浴後など肌の洗浄を行った後は、肌の水分が蒸発しないように必ず保湿をするようにしてください。保湿剤は刺激が少ない化粧水や乳液を使用するようにしてください。入浴後だけではなく肌が乾燥した際は保湿を心がけるようにしてください。

アトピー性皮膚炎の生活上での注意

アトピー性皮膚炎の治療、そして悪化させないためには普段の生活上におけるセルフケアも大切です。
<生活上の注意>
・ストレスを溜めないでください。ストレスが増えるとアトピー症状は悪化します。
・規則正しい生活を心がけてください。(十分な睡眠・栄養のバランスが良い食事)
 睡眠と食事は肌の健康にとっても基本的なことです。
・原因となるアレルゲンを避けるようにしてください。(花粉、ダニ、ほこりなど)
・掃除を小まめに行ってください。(床そうじやエアコンのフィルター掃除など)
・定期的な換気を行ってください。(ほこりが溜まらないように)
・部屋が乾燥しないようにしてください。
・爪を短くしてください。爪が長いと酷く掻きむしることに繋がります。
・服やシーツなども小まめに洗濯し清潔を保ってください。
・肌への刺激が少ない衣服を着用するようにしてください。